「はぜ」のお話

角ダクトは鉄板をパーツごとに切り分け、それらを組み合わせて形成します。鉄板同士が接続する部分には折り目をつけ、それに引っかけて固定します。この折り目部分のことを「はぜ」と呼びます。代表的なはぜは2種類あり、用途によって使い分けられています。
① ボタンパンチスナップはぜ(スナップロック)
ダブルに折り返した隙間にスナップ(でっぱり)加工されたシングル側を叩き込んで引っかける構造で、「スナップロック」とも呼ばれています。
製作時に叩き込みが一度で済む利点があり、短時間での製作が可能です。一般的なダクトに広く使われます。
②ピッツバーグはぜ(三井はぜ)
ダクト工事黎明期に三井財閥の建築物に使用されたことから、「三井はぜ」とも呼ばれています。
叩き込んだのち更に折り返す必要があり、ボタンパンチはぜと比較すると工程が複雑で、製作時間も要します。その反面、気密性・耐久性に優れており、主に排煙ダクトなどに使われています。
もともとはピッツバーグはぜが主流で、現場にて手作業で製作されていましたが、成型機を要するボタンパンチはぜが導入されると機械化が進み、現場から工場へとダクト製作の場が移り変わっていきました。そんな中でもピッツバーグはぜの技術は大切にされ、現在では機械を使用して工場で製作されています。いずれのはぜも導入当時からほぼ変わらず受け継がれていることから、早期のうちからすでに完成された「はぜ」であったといえます。